ジョブコーチトピックス

年頭に読んだ本から・・・  ( 小川 浩 : 2018/01/03 )

昨年は忙しすぎました。
今年も改善される見込みはなく、悪化する見込みの方が濃厚なのですが、忙しさに気持ち負けることなく、エネルギー補給して頑張りたいと思っています。
私のエネルギー補給の方法は、走ること、自然の中に入ること、音楽を聴くこと、本を読むことなど、いくつかありますが、正月は久々に少しジョギングをして、知り合いからお借りたした本「豊田章男が愛したテストドライバー」小学館、稲泉連(著)を読みました。
トヨタの豊田章男社長は自らレースでハンドルを握る車好きで知られますが、この本は、その章男社長に「運転のことも分からない人に、クルマのことをああだこうだと言われたくない」と言い放ったエンジニア上がりのテストドライバー、テスト走行中に不慮の事故で亡くなった成瀬弘氏と章男社長との関係を書き綴ったノンフィクションです。
細かくは書きませんが、こういうことを言える現場人は素敵だなあ、やはり仕事は何といっても現場だよなあ、現場は方法と技術にこだわってほしいなあと感じたのでした。
それから、トヨタでもアウディでもホンダでもポルシェでも、必ずレースの世界に戻ってくる理由は、「本物の車作り」を極めることから離れられないからなのだということ。確かに1リッターの量産車が売れる時代、若者がスポーツカーを好まない時代だけれども、1リッターの量産車しか作らない自動車会社には本質的な魅力はない、本当に車好きで優秀なエンジニアは「売れる車」しか作らない会社では育たないということ。
そう考えると、私が20年前に横浜やまびこの里でジョブコーチの仕事を始めたチームは、まるで「プロトタイプのスポーツカー」を作る特殊部門のような性格のところだったなあ、と。就労支援が大好き、ジョブコーチの仕事をしたい、という人間が集まり、わくわくしながら実践をして、それを発表して周囲を巻き込む力のあるチームであったと思います。優秀な職人気質のスタッフが集っていました。
正月早々、懐古趣味でただ昔を懐かしんでいるのではありません。就労支援のすそ野が広がり、誰もが「1リッターカー」のような手軽な就労支援に携わり、本物は何かが見失われそうな時代に、何をどうしたら良いかを考えていたのです。
時代はガソリンからハイブリッドや電気自動車に変わっても、「良いクルマを作ろう」というテーマを掲げ続けるように、そのために多大な費用をかけてレースに勝てる車を作り続けるように、そして「良いクルマ」とは決してデータ解析だけでは出来ないと、現場のレースを重視したり、テストドライバーの感覚を最後の決め手とするように。自動車業界のいくつかのエピソードから、就労支援の世界のことを考えました。
腰を据えて、「手軽な就労支援」のノウハウを語るのではなく、本当の就労支援、質の高い、専門性の高いジョブコーチ支援を考えていきたいものだ、これからもそういうことを続けていきたいものだと、そんなことを思った正月三が日でありました。
久々の雑文でした。

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大妻女子大学人間関係学部人間福祉学科・教授、社会福祉法人横浜やまびこの里・仲町台センター

経歴:

大学院で障害児教育を学び、神奈川県総合リハセンターの知的障害者更生施設の生活指導員として障害者福祉の業界にデビュー。その後、同センターの職業前訓練科を経て、1998年より社会福祉法人横浜やまびこの里・仲町台センターにてジョブコーチの仕事を始める。2003年より現職。

プロフィールコメント:

仲町台の実践がスタートして2〜3年、目前の利用者さんの支援に無我夢中だった頃、ジョブコーチについて話しをする時は、「とやかく言わずにとにかくやってみよう」という思いを込めて「Just Do It」をキーワードにしていました。管理運営の立場になるにつれて、次第に「Plan Do See」、計画と修正の必要性を説くようになりました。今、ジョブコーチ・ネットワークを立ち上げるにあたって、気分は再び「Just Do It!」。もう一度、とやかく言わずにやってみようと思っています。日本のジョブコーチ、アッという間にここまできましたが、まだまだ理想とかけ離れているからです。一緒に「Just Do It!」の人たち、側で「Plan Do See」と囁いてくれる人たち、いろいろなカラーでジョブコーチ・ネットワークを形作っていきたいです。日本の就労支援、障害者福祉、「ジョブコーチ」をキーにどこまで変わるか。もう一勝負!