ジョブコーチトピックス

A型は雇用率制度に大きな影響を与える時代  ( 志賀 利一 : 2015/02/27 )

ジョブコーチ・ネットワーク会議のシンポジウムはどんなものになるのだろう?
登壇するのに、他人事ではいけませんね。さて、今回は別の話題です。

《文中の解釈は、間違っているところもたくさんです。下のコメントも読んで下さい》


2月12日に、平成27年度からの障害福祉サービス等報酬改定が示され、全国の多くの事業所では概ね来年度の収入試算が終わった頃だと思います。報酬単価については、介護保険とは違い、総合的にはマイナスではなくゼロ査定という決着になりました。

さて、今回は、この報酬改定のデータではなく、3ヶ月前に公表された「平成26年障害者雇用の状況(ロクイチ調査)」と「障害福祉サービス、障害児給付費等の利用状況について」を比較し、就労継続A型が、障害者雇用率には無くてはならない事業所になっている現状をデータとして提示いたします。

平成26年3月に就労継続支援事業A型を利用している人数は36,730人です。他の就労系事業よりも遥かに順調にこの数字は伸びています。都道府県データを見ると、1,000人以上の利用がある都道府県は11府県でした。この11府県の労働局のWEBページかロクイチ調査の結果をダウンロードし、「法定雇用障害者数の算定の基礎となる労働者数」と「障害者雇用数(カウント数)」を抽出しました。結果は、添付の表の通りです。なお、愛知県は、平成26年のデータが入手できませんでしたので、10府県の結果です(愛知県内の方、追跡して下さい)。

データを解釈する際、注意する点が2つあります。

「④A型利用数」は月に1日、例えば1時間通勤した人も含まれます。常用雇用の基準である週30時間以上(短時間の週20時間以上)で数えているわけではありません。さらに、身体障害者や知的障害者で重度障害者であっても、ダブルカウントされているわけではありません(個人的には差し引きゼロとして考えていいと思いますが根拠が無い)。そしてもうひとつ、「②障害者数」は厳密な意味での人数(実数)ではありません。重度障害者のダブルカウントや短時間就労のハーフカウントを加味した、カウント数です。どちらも、障害者雇用や就労支援に携わっている人にとってはイロハの注意点ですね。つまり、⑤や⑥の数字は、数字そのものの正確さを求めても意味はありません。あくまでも目安として理解して下さい(その上、データ算出の時期も若干ズレが有ります)。

それでもこの数字には驚かされます。熊本県では労働局把握の障害者雇用数の53.6%がA型利用者数です。同様に、岐阜県では48.9%、福井県では45.2%です。A型を民間企業の実雇用率に入れなかったら、実雇用率は、熊本県0.99%、岐阜県0.92%、福井県1.24%になってしまいます。他の7つの府県も、そこまで極端ではないですが、A型がなければかなり厳しい数字になります。これからは、就労移行支援事業の就職定着数には、A型事業所で雇用された数字を含みません。雑な表現ですが、上記3つの県では、実績の半分が飛んでしまいます。厳しい現実です。

一方、第一次産業の働く場が無くなり、個人事業や地域の商店街での雇用も壊滅状態の地方では、A型の給付を見込んで、新たな障害者雇用の場を切り開いた組織・事業所がいくつもあります。この意欲と行動力には、しっかりとした報酬を出すべきですし、お金に変えられない賞賛すべき取り組みだと思います。これを契機に、地方の新しい特産品・産業が生まれる事例も増えていると思います。同時に、A型無しに、地方の雇用率制度も崩壊してしまう現実もあります。昨年の12月6日にも書き込みした、生産的な仕事を行わない「非労働型」で、公的な給付だけでなく、雇用率も稼いでしまうのは論外として、歴史的に、お荷物的な目で見られてきた福祉的就労ですが、「これぞ福祉的就労の未来!」といったA型事業所の取り組みが増えて欲しいですね。

ワークシェアとマッチング

ご無沙汰してます。高坂です。
さて、私の所属する法人もA型事業(総定員 50名)を行っていますので、コメントしたくなりました。
最近は、北海道では過疎化、高齢化が進むなか、どうやって地域に労働力を持ってくるか、ということが課題です。もちろん北海道だけではなく、その他の都府県でも同様だと思いますけど。
個人的な勝手な意見ですが、次の3つの仕事については、今後「福祉的就労」の 活躍が期待できるのではないかと思っています。

 1)高齢者の介護事業
 2) 1次産業(農林漁業) ※ソーシャルファームなんかも
 3)再生可能エネルギー(太陽光、風力発電等)

 3)は少し調子に乗ってしまいましたが、実際に太陽光発電に取り組まれている社会福祉法人もありますから、 ビジネスモデルとしては、今後一考の価値はあると思います。

 「高齢化」と「過疎化」、「インフラ不足」は一見すると「マイナス要素」ですが、裏を返せば、「労働力の不足を補うことのできる人たちの活躍の場」、「不要な刺激が少なく、穏やかで安定した生活」ということも言えます。

やはり、しっかりとしたワークシェアとマッチングの上に「明るい福祉的就労の未来」があるように思います。

今週末のJC-NET会議、個人的には、2年ぶりに参加させていただきます。かなりな「浦島太郎」だとは思いますが、今から楽しみです。

投稿者: 高坂一人 2015/03/02
データの更新と解釈の訂正

A型の割合がもっとも多い熊本県の就労支援の重鎮からメールでコメントを頂きました。それから、たくさんの新しい情報をいただきました。ありがとうございます。
一覧表の解釈が間違っている思われる点は、2つです。

①A型事業所の多くは従業員規模が50人未満なのでロクイチの対象外である場合が多い。

②やはり短時間の精神の人が多いので、ダブルカウントは稀で、ハーフカウントが多いので、利用者数を1カウントとするのは実態と外れるのでは。


ということです。たしかにその通りです。早とちりでした。愛知県の数字も入れた表を再アップしますが、インパクトはあまりありませんね。ちなみに、熊本県では、障害者の就労件数の3人に1人がA型という実態らしいです。やはりA型の社会的役割は大きいですね。


投稿者: 志賀 利一 2015/03/02
変化の早さに驚かされます

高坂さん、ジョブコーチ・ネットワーク会議楽しみです。講堂の視聴覚機材が故障しないといいのですが・・・


A型の仕組みを活用した、地域の発展は、本当に期待しています。私には、全くアイディアが出てこない分野です。確かに、福祉新聞で再生可能エネルギーの話題や地方新聞で第一次産業の新たな取組記事、そして立ち上がったばかりの「就労継続支援A型事業所全国協議会(Aネット)」など、明るいニュースも多くなりました。


それにしても、ついこの間、A型スタートだと思ったら、いつの間にか50人規模なのですね。びっくりです。


虐待の事例として登場したり、指定取消の事業所が出たりなどは、今までの障害福祉分野と異なる文化が流入したひとつの減少なのだと思います。もちろん、虐待も不正受給もダメなものはダメですが。新体系事業に変わった平成24年度以降、これだけ右肩上がりで利用数が増えている事業種別もありません。世の中の変化はほんとうに早いですね。


投稿者: 志賀 利一 2015/03/02
本当です。

そうですね。
ここ最近、北海道でのサービス管理者の講習等をお手伝いさせていただいているのですが、以前のような「障がい者福祉事業」というよりも「ビジネス」色はかなり強くなってきたように思います。
もちろん、良い、悪いではなく、ひとつの「変化」として受け入れるべきとは思います。しかし、やはり「モラル」というものも大事になっているように思います。
「右手にそろばん、左手に論語」
三菱の創業者、岩崎弥太郎氏の有名な言葉です。
大きい小さいを問わず、事業を行うものとしては、大事なことだと思っています。

さて、志賀さんがご心配されているので、以前あったのですが、へたに触って、突然ステージのカーテンみたいなものが、降りはじめ、パネラーの方に、にらまれたり、なんてことがないよう、座席に座ってお話しをお聞きしたいと思います。

投稿者: 高坂一人 2015/03/03
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