ジョブコーチトピックス

就労移行支援事業の2年後の問題  ( 小川 浩 : 2009/05/10 )

年度はじめのバタバタで、なかなか記事を上げられませんでした。お久しぶりです。
ゴールデンウィークも終わり、いよいよ今年度も本格的なスタートです。未曾有の不況の中、障害者雇用促進施策は中小企業の雇用促進に舵を切り、障害者自立支援法の下での地域就労支援も本格的な成果が求められる段階に入ってきました。いろいろな面で、就労支援にとって厳しい年度になりそうですが、今年度も元気に頑張りましょう。

さて、ある就労移行支援事業の運営者から、就労移行支援事業を2年経過した利用者について、以下のような情報が入って来ました。

就労移行支援事業を24ヶ月経過して就労できていない利用者について、就労移行支援事業を取りやめ就労継続B型事業に変更の通達を受けたそうです。施設としては1年の延長を申請、親も当事者も就労を希望しているが、市は審査会で就労継続B型が望ましいとの決定が出たからの一点張りだそうです。この施設の運営者は、 2年間で就職させらなかったのは施設側にも責任があり、利用者のみの責任ではない。就職したい利用者の希望を大切にすべきであり、せめて現在の施設の利用については延長を認めなくても、就労継続B型事業への変更を強いる決定は望ましいとは思えないと言っています。


皆さんの身近ではこのような問題は生じていませんか?

JC−NET会議のシンポジウムでは、就労移行支援事業の2年間という期限は概ね妥当だろうという意見が多かったように思いますが、皆さんの意見はどうでしょうか?
私は基本的には2年間という期限は妥当だろうという線は変わりませんが、この事例にのように延長を認める合理的な判断を審査会ができるかどうかという問題まで考えが及んでいませんでした。
この事例についてあまり詳しい情報はありませんが、個別支援計画の内容、実習を行ったかどうか、その評価はどうか、etcについて丁寧に見ていけば、「何もやらないでの2年間」なのか、「頑張ったけどあともう一息の2年間」なのかは見えて来るようにも思いますが、審査会の委員に就労支援の経験がないとその辺の判断は難しいかもしれません。

私は、就労移行支援事業が乱立している地域もなる中で、「何もやらないでの2年間」がさらに延長を希望してくることを懸念していましたが、この事業所は非常に就労支援をがんばっているところで、「あともう一息の」の悔しさについては疑う余地はありません。審査会の延長を認める、認めないの仕組みについて、早急にガイドラインが必要かもしれません。皆さんのご意見やお知恵をお願いします。

利用延長の審査

利用延長を認める場合の基準(593.7KB)
私は、ある市町村の認定審査会の委員でもあります。

私が関係している審査会では、就労移行支援の利用延長についての判断の基準は大まかに示されていますが(添付参照)、基本的には個別支援計画や意見書から、利用延長することによって、現状から目標達成が現実的なものなのかどうかを読み取るという感じです。

この事例の妥当性に関しては、コメントできませんが、他の地域でもこれから、ご本人、事業所の意向とずれることが出てくることがあるのでしょうね。

2年間の中でスケジュールを考え、支援を組み立てていくことは難しいことかもしれませんが、そんなこと何も考えていない、就労移行支援事業所もあるのも現実です。小川さんのおっしゃる通り、利用延長についての審査も認定審査会でするならば、この利用延長がどういう意味があるのか、しっかり妥当性を判断できる審査委員がホント必要だと思います。(ただ、そういう人間がたくさんいるはずがないんですけどね。)


投稿者: 酒井 大介 2009/05/11
私見ですが

以前私が勤めていた就労支援機関の利用期間は2年間でしたが、そのほとんどが期間内で就職に繋がっていました。(利用に選抜や選考などは実施していません。)
この要因のひとつは、利用者も職員も「就職する」という高いモチベーションがあったからだと思います。
ただ、期間内で就職ができなかった方が数人いたのも事実です。それはとても悔しい思いもしましたが、それが就労支援のレベルをあげるためのモチベーションになっていたような気もします。

今の私の勤める施設は、就労移行が圧倒的少数の多機能型施設です。「就職する」というモチベーション、雰囲気は以前の施設には遠く及びません。この4月で2年の利用期間を経過した利用者が複数いますが、1年の延長を認めてもらうことができました。

私は、自治体によって支給決定に大きな違いが出ていることにも疑問を感じますが、多機能型で介護給付との同一事業所、または就労移行が少数になっている事業所で、就労支援の成果を上げることができるのかという、就労支援をしようとする事業所のあり方についても疑問が残っています。

個人的には就労支援のノウハウ、スキルのある事業所であれば、3年で就職できる人は、2年で就職できると思いますし、2年で就職できない人は、3年でも難しいと思います。
実際に1年間の延長で就職の可否という話になれば、就労支援の実務者でも意見が分かれると思います。

就労移行で就職できなかったから、就職をあきらめるのではなく、B型での個別支援計画やアセスメントを元に、また就労移行を利用できるといったことはダメなんでしょうか。
どちらにせよ、現時点では審査会がネックになるのでしょうね。


投稿者: 東 良太郎 2009/05/12
地域自立支援協議会を活用してみたら如何でしょう

行政の立場から、気がついた点をお話ししてみましょう。

我が山梨県では就労移行支援事業の充実・強化を図ることを目的に、県自立支援協議会及び各地域自立支援協議会に対して、この課題について個々の事例に基づき検討を行うよう指示出しをしております。

地域自立支援協議会=市町村もしくは市町村圏域単位で就労支援をはじめとした各部会が設けられているかと思います。
当然、この中にはサービス支給決定を行う市町村の担当者も構成員として含まれているところですが、残念なことにサービスの支給決定権をもつ行政担当者が実情を理解していない(理解する機会がない)ことも課題と考えております。

厚生労働省も就労移行支援事業については障害者自立支援法施行にあたっての「目玉商品」の一つとして展開しているところですが、
例えば、支援学校卒業生について「就労移行支援事業を経なければB型事業所に行くことができない」ことについて支援学校及び保護者サイドから猛烈なバッシングを受けている実情を踏まえ、例の臨時特例交付金事業にて「就労系事業利用に向けたアセスメント実施連携事業」を創設しました。

2年間という期間が適当かどうかはあくまでも当事者のアセスメントによるものであり、まさにこうした部分について認定審査会においてきちんとした議論を行うことが必要だと感じます。
加えて記述するなら、現場の実態を地域自立支援協議会等の場を通じて議論した結果を都道府県自立支援協議会なりに上程し、サービスの在り方を考えていくというアプローチもひとつの方法でしょう。
過日のコメントにも記述しましたが、机上論で仕事をしているお役人様も現場の実情を知りたがっているというのが本音だと思います。(と信じたいです。)

投稿者: 福本 康之 2009/05/12
自立支援協議会の役割

福本さん、行政の立場から貴重な情報ありがとうございます。
何だか役割が見えにくかった自立支援協議会も、役割を真面目に考えていけば、様々な面で機能するかもしれません。
今回の問題でもそうですが、自立支援協議会に就労の分かる人が入っていることは重要ですね。就労支援部会を設置しているところも少なくないようですが、どんなメンバーでやれば機能するのでしょうか?ポジションや肩書よりも「人」という結論になってしまいそうですが、もし、うちはこんなメンバーで、こんなやり方で自立支援協議会で就労支援の問題にアプローチしているという話題があったら教えて下さい。

投稿者: 小川 浩 2009/05/15
自立支援協議会に参加して・・・

 教育からの参加として、学区域内の2行政区に委員として参加しました。
 これ1本でシンポジウムができるかもなあ、と思いますが、参加した行政区は就労支援の部会がなく、随分就労支援に関する提案をさせて頂きました。
 ちょうど障害福祉計画の2期策定に意見できるタイミングだったので、諸々の目標数値に対して、具体的な施策として就労支援にどれだけ注力していただけるか煙たがられてると思いながらも意見させて頂きました。
 今年度、学校現場から行政に異動したので、実施に関われないのは残念ですが、委員として参加する機会があれば、実績を基に提言できる余地はまだまだあると言うのが実感です。
(東京都立中野特別支援学校・進路指導主幹→東京都中部学校経営支援センター支所・学校経営支援主事)

投稿者: 深谷 純一 2009/05/19
某F県F市では・・・・

病気治療のため就職活動を中断していた期間の3ヶ月だけ、延長申請をしようとしたら・・・「また3ヵ月後に就職できていなかったらまた審査に掛けなくてはいけなくなるので、1年間の延長申請を出してください」といわれました。(この場合は、受付窓口は保健所なんですけど・・・)

所変われば行政の対応もまちまちですね。

また、F市では就職できなかった残りの全員20名ほど(ほぼ全員)の延長申請をして認められたそうです。うーん・・・微妙な感じです。

私も申請書を書きましたが、非常に簡素なもので、私の意見書次第だと思うと複雑な気がいたしましたが、すんなりと認めていただくことができました。

審査会の委員の構成って各県で違うんですかね。


投稿者: 田添珠美 2009/05/20
審査会には失礼ですが・・・

田添さん、コメントありがとうございます。
就職できなかった20人全員が延長ですか。「スルー」ではないと思いたいですね。
厳しいところもあり、ゆるいところもあり、当然予想されたことですが、特に就労支援に係る事項での審査会の判断はしばらくゴタゴタしそうですね。すべての審査会に就労支援の分かる人が参加することは困難であることを前提にして、システムを考えていく必要がありそうですね。
他の地域も何かありましたら情報をお寄せ下さい。

投稿者: 小川 浩 2009/05/20
コメント投稿は会員のみが行えます。
ログインがまだの方はこちらからログインしてください。
http://www.jc-net.jp/newTrackback.tsv?no=6271