精神障害者とは、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律において、「精神分裂病、精神作用物質による急性中毒又はその依存症、知的障害、精神病質その他の精神疾患を有する者をいう」と定義されています。この定義は、精神科医が(精神医学の分野で)取り扱う精神科障害の診断名を網羅しています。確かに、知的障害や発達障害のある人は、精神科医を主治医とすることが一般的です。しかし、障害福祉の制度では、このような障害の多くは療育手帳を取得し、精神障害とは別の知的障害として取り扱われています。知的障害者福祉法に知的障害が定義されていないことと関係しているのかどうかわかりませんが、障害福祉や教育・リハビリテーションの現場の認識と法律上の定義と若干の矛盾があることは覚えておきましょう。
障害者雇用の対象となる精神障害者とは、統合失調症(精神分裂病)、うつ病・躁うつ病、てんかんにかかっている人で、精神障害者保健福祉手帳の交付を受け、症状が安定し就労が可能な状態にある人と言われています。ジョブコーチにとっては、精神障害イコールこの障害者雇用の暗黙の対象者に馴染みがあります。
ところが、この暗黙の対象者も現状とのずれがあります。たとえば、うつ病・躁うつ病に関しては、発病しやすい時期は中高年であることが多く、原職への復職が大きな課題であり、これまで障害者雇用の対象あるいはジョブコーチによる支援の事例がほとんど無いのが現状です。また、てんかんについても、これまで障害者雇用の対象として支援を受けてきた人の大多数は、療育手帳等を取得し知的障害者のサービス受けてきています。
平成18年度(平成17年の通常国会により雇用促進法の改正)より、精神障害者を雇用した企業は、その人数分を身体障害者あるいは知的障害者とみなし雇用率に加えることになります。また、週20時間から30時間未満の短時間雇用についても、雇用率0.5カウントという新しい制度も導入される予定です。しかし、現実にどれくらいの人が、障害者雇用のニーズあるいはジョブコーチのニーズがあるかは、まだ不透明だと言えます。社会的には重要なテーマであるだけに、本来のニーズに沿った仕組をみんなで考えていく必要があります。