ご挨拶

 「ジョブコーチ」とは、障害のある人が社会の中で働くことを目指す、就労支援の新たな理念と方法を表す言葉です。「ジョブコーチ」と呼ばれる支援者が、障害のある人が働く職場の中で、障害のある人と企業の双方をサポートすることが特徴です。我が国では、2002年に厚生労働省が「職場適応援助者(ジョブコーチ)事業」を制度化し、その他、地方自治体においてもジョブコーチの方法を取り入れた就労支援事業が増えてきています。
 現在、ジョブコーチに公的な資格制度はありません。その方法や技術は、実践の中で形成され、修正されてきています。1つの完成形があるのではなく、先ず就労支援の実践があり、実際のニーズに応じて編み出され、体系化されていくのが「ジョブコーチ」であると考えています。
 障害者自立支援法が施行されてから、障害者福祉は「施設内の支援」から「地域生活の支援」へと、施策や制度が大きく方向を変えようとしています。そうした中、障害のある人が働く場も、可能な限り「施設」から「一般社会」へと移行することが期待されています。働くことを軸にしたノーマライゼーションの創造。その最も有力な方法が「ジョブコーチ」です。
 我が国のジョブコーチは、マラソンに例えれば、ウォーミングアップが済み、ようやくスタートラインに着いた段階といえるでしょう。これから必要とされるのは、就労支援の実務を担う個々人の勇気、活力、技術、そしてゴールを目指す仲間、あるいはライバルの存在であると思います。「ジョブコーチ」といっても、経験豊富な人、就労支援を始めたばかりで不安な人、いろいろな人がいると思いますが、「障害のある人が社会の中で当たり前に働くこと」の実現を目指し、それぞれのペースで着実に前進することが必要です。
 福祉、労働、教育、医療などの分野を超えて、障害のある当事者、家族、就労支援の専門家、そして企業などの垣根を越えて、同じ目標に向かう多くの仲間が「ジョブコーチ」というキーワードの下に集うことを期待しています。ジョブコーチ・ネットワークは、共通の目標を目指して駆けていく仲間を増やし、養成し、つなげることに貢献していきます。

2008年5月1日

ジョブコーチネットワーク
代表 小川 浩